地震、台風、大雨…。毎年のようにニュースで目にする自然災害。
どこか遠くの出来事のように感じていたのに、「あれ、うちの近くでも起こりそう…」と、ふと不安になることはありませんか?
私自身、ある日ふと台所の棚を見上げて「これ、地震が来たら落ちてくるかも」と気づきました。けれど、何をどう備えればいいのかわからず、「防災って、なんだか大げさで難しそう」と思っていました。
でも実は、防災って特別な人だけがやることではなく、私たち一人ひとりの毎日の暮らしと深く関わっているんです。
それというのも、東日本大震災が発生した当日、都内で働いていた私は会社に泊まることになったのですが、持病の薬を持ち歩いていなかったために、不安な一夜を過ごすハメになりました。
そのような経験があったから防災についていろいろ調べたり、このブログを立ち上げたりしたんですね。
なので、この記事では、「防災とは何か?」という基本の“き”から、日常に取り入れられる小さな備えについて、私の視点をふまえてお話していきます。
「防災」について、あなたも一緒に考えてみませんか?
防災とは何か?その基本の“き”
東京消防庁のサイトによれば、広辞苑で防災を調べると「災害を防止すること」と簡単に記載されているそうです。
では、「防災」という言葉は、いつ頃から使われるようになったのでしょうか。また、そのきっかけは何だったのでしょう。
「防災(ぼうさい)」という言葉が本格的に使われ始めたのは、1950年代後半~1960年代(昭和30年代)とされています。きっかけとなったのは1959年(昭和34年)に発生した伊勢湾台風でした。
9月26日の夕刻、紀伊半島先端に上陸した台風15号(伊勢湾台風)は、全国32道府県で犠牲者を出しました。台風災害としては明治以降最多となる死者・行方不明者は5,098名です。しかも、犠牲者の83%は高潮が発生した愛知県と三重県に集中していました。
また、愛知県・三重県では全国比73%にもなる建物が全壊・半壊・流失などの被害を受けています。こうして数字を見てみると、どれだけ被害が大きかったのかがわかりますね。
そして、甚大な被害を出した伊勢湾台風から2年後の1961年10月に制定されたのが「災害対策基本法」であり、第二条第二号には「防災の定義」として次のように記載されています。
『防災 災害を未然に防止し、災害が発生した場合における被害の拡大を防ぎ、及び災害の復旧を図ることをいう。』
一般的に理解されている「防災」は、「災害を防ぐ、災害に備える」というものですが、災害対策基本法に記された「防災の定義」には、被害の拡大を防ぐことや、災害後の復旧も含まれています。
初めてこの事実を知った時、「防災の定義って、こんなに幅広いの?」と驚きました。おそらく、あなたも同じように感じたのではないでしょうか。
もう一つ、覚えておかなければいけないことがあります。それは、防災というのは『特別な仕事の人』だけが関わるものではなくて、私たち一人ひとりが関わるものだということです。
私たちの命や財産・暮らしを守るのは、私たち自身です。だからこそ、防災に関する知識を身につけ、実践する必要があります。
例えば、私のように持病があるのなら必要な薬を持ち歩く。住まいを守りたいなら耐震補強工事をする。暮らしを守るために水や食料・衛生用品などを備蓄するなどが挙げられます。
ここから、自分の命や財産・生活を守るための防災について、一緒に学んでいきましょう。
なぜ防災が大切なのか?
防災というと、つい「めんどうそう」「お金がかかりそう」と思いがち。でも実は、“自分が困らないように備えておくこと”が、まわりの人を助けることにもつながるんです。その理由を3つ紹介します。
自分の命や財産・生活を守るため
防災が大切な理由として挙げられることの1つめは、前述したように自分の命や財産・生活を守るためです。
ほとんどの人は、昨日・今日と続いてきた平穏な毎日が、明日以降も繰り返しやってくると思っているでしょう。
しかし、地震や台風などの災害は突然私たちに襲いかかり、思い出の品や大切な人との日常を一瞬で奪ってしまうこともあります。
「まさか自分が被災するなんて…」
そう口にする人が、実はとても多いのです。だからこそ、“もしも”のときに、被害を最小限に抑える準備=防災が大切なんですね。
ほんの少しの備えが、自分の命だけでなく、大切な家族や周囲の人の安全にもつながると考えれば、防災がいかに重要なことかわかると思います。
高齢化社会と地域のつながり
2つめは、災害が起きたときに高齢者が被害にあいやすいという傾向が、近年では各地の被災地で問題になっていることです。これは、近い将来、高齢者の仲間入りをする私たちアラ還世代にとって、他人事ではありません。
「足が悪くて避難が間に合わなかった」
「一人暮らしで、誰とも連絡がとれなかった」
そんなケースも少なくないのです。
でも、防災は“個人の努力”だけではなく、「自助・共助・公助」のバランスが大切です。
特に、近所の方や地域のつながり=“共助”の力が、私たちの安心を大きく支えてくれます。
1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、多くの人が建物の下敷きになりました。消防車や救急車の出動が間に合わない中、下敷きになった人を助けたのは近所に住む人たちだったという報告があります。
また、2024年1月1日に発生した能登半島地震の際は、孤立した集落の人たちが食料を持ち寄り、温かい料理を作ってみんなで食べていました。
これこそが、「共助の力」です。
近年はご近所とのお付き合いが減り、「隣にどんな人が住んでいるか知らない」というケースも多いといいますが、日頃から顔見知りの関係を作っておくことも、実はとても立派な防災になるんですね。
「自分のため」が「誰かのため」に
3つめは、自分のために備えたことが、まわりの人の助けにもなるということです。例えば、持病のお薬を常備していれば、避難先でも安心して過ごせます。
しかし、もし常備していなかったら、不安なまま過ごしたり、具合が悪くなって周囲の人に迷惑をかけたりするかもしれません。
また、非常食や飲み水を多めに用意していれば、支援物資が届くまでの間にひもじい思いをすることもないし、他人の非常食を分けてもらうこともありません。
自分の備えが、家族を、地域を、そして自分自身を守ることになる。
そう考えると、少しだけ「やってみようかな」という気持ちがわいてきませんか?
まとめ
防災というと、「防災リュックを用意するのが大変そう」「備蓄ってお金がかかる」というマイナスなイメージを持ってしまいがちです。
でも、防災は決して特別なことではなく、“日々の暮らしの一部”として自然に取り入れていくものです。
一人ひとりが「自分と大切な人を守る行動」をとることで、被害をぐんと減らすことができます。
今日から、できることから。
少しずつ防災を意識した暮らしを始めてみませんか?